守りの工夫
通路の形そのものが、仕掛けになっています
城の守りは、道具よりも地形と動線で組まれています。入ってから進みにくい、という状態をどう作るかが設計の中心です。
- 枡形虎口
外の門と内の門のあいだに、四角い空間を設けます。入ってきた者はここでいったん止まり、直角に曲がってから次の門へ進みます。三方を囲まれ、上から見下ろされる位置です。
- 横矢掛
塀や石垣の線をわざと折り曲げ、突き出した部分を作ります。塀に沿って進む者を、側面から見通せるようになります。まっすぐな壁では死角ができるためです。
- 狭間
塀や櫓に開けた小さな穴です。四角いものと三角のもの、丸いものがあり、形で用途が分かれていたとされます。外からは狙いにくく、内からは外が見える角度に開けられます。
- 石落とし
櫓や天守の壁から張り出した部分で、床に開口があります。石垣に取りついた者を真下に見る位置です。
- 馬出
門の外側に小さな区画を設け、出入りを守ります。内から出るときは集まる場所になり、外から来るときは足止めの場所になります。
水と食料のほうが切実でした
守りの造りに目が行きがちですが、籠城で先に尽きるのは水です。城内に井戸を確保することが条件であり、山城で築ける場所が限られたのはこのためです。
食料を納める蔵の位置、塩の備え、薪の置き場。城の区画のかなりの部分は、こうした蓄えのために使われていました。
城内に松が植えられたのは、非常時の用途を見込んでいたとも伝えられます。
守りのためだけではありません
城は軍事の施設であると同時に、政治を行う場であり、力を示すための建物でもありました。大きな石をわざわざ遠くから運んで門の脇に据えるのは、守りの必要からではなく、それだけの動員ができることを示すためです。高い天守も同じ性格を持っています。
平和な時代が続くと、守りの機能は使われないまま、格式を示す部分だけが整えられていきました。現在目にする姿の多くは、この時期の形です。